断片的

こういうことになる

知らなかったんだ、残喘

20180514
shortnoteから再録『君との約束を守れなかったばっかりにこんなクソみたいな生活、』
 
 
神経質な幽霊の死体を噛みちぎって咀嚼する。胃液に溶かされた神経質な幽霊の死体から、血液がにじみ出て、胃液と混ざり合う。体内に黒い海が広がる。
雑音は毒性の液体だ。耳から入り込んだ毒が聴覚を侵すと、ほかの音はくぐもってよく聞こえなくなる。
言葉は金属の個体だ。鋳型によって形作られた重みのあるそれを、私はどう扱えばいいかわからない。持て余している。個体をはめこむことのできる箇所が自分の体のどこにもないことを悟り、やるせない気持ちになる。言葉の真意に思いを馳せながらぼんやりしていると、手のひらの発熱が静かに冷えた金属のような言葉に奪われていく。逆をいえば、私の体温が言葉の凛々たる美しさを台無しにしているのだ。
重くなる肢体を引きずりながらエスカレーターに足を踏み入れた。下降していく階段に立ち尽くして揺られる。嫌悪感が波打ってたぷたぷと音を立てる。水風船を連想させた。投げ出して中身を飛散させながら破裂する水風船のことを考える。知らないうちに死んでから見ている夢のようだった。
白昼夢のような音楽を聴き流しながら乗り換えホームにやってきた電車に乗り込むと、高校の友人に偶然出会った。少し話していると涙が出た。