断片的

こういうことになる

賞味期限切れ

頭の中を蛆虫に食い荒らされてる感覚がある

鈍い頭痛が立ち枯れた紫陽花の毒に似ている

暗紅色の液体が飛び散ったホウセンカの花だけが傍らの死体をじっと見つめている

感覚の麻痺をさせる薬が役立つのはそれを必要とする致命傷があってこそだろう

行きの電車で祈りじみた手紙を書きなぐっていたら泣きそうになってきた

いつもこうだ 本人に言葉にして届けるつもりのない祈りが結局勝手に言葉になってしまう 心の底から思っていることだから 卑しいからその本心は最後の一文に留める 名前も書かないよ

今となっては鬱陶しくてたまらない

畦道で死ぬ、あの人は死ぬ、もうすぐ死ぬ、あの子も死ぬ、目を離した隙に空を飛ぶ

焼かれもせず腐って無縁仏になっていく死体ですら拝みたい 誰にも言えない

自信喪失と自己嫌悪と発狂が同時に日食のよにぴったり重なって何も見えなくなっている

自分が何よりも嫌いに思える日は超俗した救いが光に見える

吐瀉物みてえな祈り

それは今日紐解いた実験小説の絶望を染み込ませていくことと同じ

見せかけの実態が普遍の空気が本質の無意味が救いだということ

夜があなただけのものになることで安寧が訪れるならそうしてほしい

あまりにも青色の模様が綺麗だからそれが身体にとっての毒であることを忘れて惚けていた

本当は自分が好いと思ってるものが誰にも刺さらないことに腸を煮えくりかえしている

自分の見た幻を遺書代わりにしたためて後の人間に伝えるしかない

俺が見てきたものはなんだったんだ

確かに見たはずなのに

他ならぬ彼ら自身がそれを無かったことにしようとしていく

情報生命体としての命を少しずつ殺している

俺がみた幻を誰にも伝えることができない

だから箱庭でなく遺書を描く

幸せに生きてくれたらそれでいい 生活の中のふとした毒にも薬にもならない事象であればいい

こうして悪循環は繰り返して最後は信仰に殺されそうになって信仰を殺す

神話を 彼らの言葉をなぞっていく その神聖さを噛みしめて この世界を許す糧にする おれは気が狂っている

目を逸らすなよ 意味のない嘘を

生きててくれてありがとうあなたの前では私のどんな苦しみも祈りもすべて無意味だ

あなたに地獄に堕とされたい

状態異常「祈り」「狂信者」「排斥」

自分という個体がどれほど願っているかなんて間違っても知られたくない、そうでなくて、実体のない祈りのような願いだけがただ浮遊しながら相手の方向へ向けられていることを知って欲しい

他人の存否によって生かされているのだと実感する

遍在する倫理と偏在した執着が愛だよ

ひとがやけに美しく見えるから祈らずにいられないってだけの話ですよ 結局

自分がいつもより嫌いに思える時は超俗している人が光に見える

宗教心よりポップで恋より安全

なのに私はそれを汚すことを強いられている

俗世への協調のために信仰を蔑ろにすることは私にとって辛くて

夜眠る前に、百ぺん謝っても足りないでしょう

息災を、信仰を、安寧を、信頼を、心算を、偶像を、無我を、分類を、不可視を、超俗を、霊場

正方形の隙間が愛しい それ以外はすべて憎い

私が遺書に書きたいのは本当はこんなことではなくて

私の祈りを叶える人だ

代わり映えのない毎日を生きててくれて嬉しい

月曜日の早朝5時は彗星が通り過ぎる

祈りが近づく なんだか衛生軌道のようにやけに近くにやってきたので瞬きから瞬きまでの一瞬の隙でその息吹を脳に焼付けた 今はそれを反芻してる

このあとどんどん離れるだろう 軌道上を一周するのにどれほどの年月がかかかるか知らないから次はいつかわからない 生きてるうちにはもうないかもしれない 別にいい

私は意味を求めすぎる だから意味を極限まで殺した君の生きざまが羨ましく愛しい

人の気持ちに興味がなくてよかった

小説を読むことに限っては下手な人でよかった

あなたが遠い人で本当に良かった そうでなければ

正真正銘の祈りに姿を変えたい 体が重い、頭が痛い、具合が悪い、焦点が定まらない

こちらの苦しみとは関係なく貴方の元に平穏が長居すれば できるだけ長く できるだけ多く

祈りたい、あなたに祈りたい、私が無駄なことをしているとはやく教えて欲しい

暗くて静かで寂しい

押し付けがましい祈りを恥ずべきなのに他でもない愛する人がそれを願っているから私も願わずにはいられない

晩年を過ごしているような無機質さが救いなのにね

あなたが惨めに寂しく死んでいくであろうことが私にとってどんなに救いか

どんなに悲しいか

私があなたを慕っていることがどんなに愚かか

生身の人間を心の支えにできていないことが時々恐ろしく感じる 私が見ているものは架空の、普遍の、非実在

擦り寄ってきた猫を見た時に押し殺した嫌悪感に似ている

抱きしめる姿かたちがない 掴もうとしても手応えがなくて抱きしめようとしてもなんの感触もないまま我が手が空を切るのみ

橙色の光が差し込む暗闇に地獄を見た

あなたの前では私の祈りも悪巧みも全て無に帰す

絶対に届かない相手に信仰という名の恋をして、あらゆる成就を最初から諦めることによって、期待したのち傷つくという恋愛の負の側面をことごとく回避することができます

ただ、生きた心地はしません

寂しい 元気な姿が見たい

でもこれはこちらの強欲なので 生きやすい場所で好きなことをやっててくれたらいい

あなたのことを消費してる人間なんて救わなくていい

私は勝手にあなたのことを考えて自分で自分を救わなきゃいけない

あなたは神様でも何でもない

なるべく永く、安寧に包まれて生きて欲しい

尊敬する人から死を遠ざけたい

安寧に包まれて生きて欲しい

心の底から笑えるような楽しみに恵まれてほしい 死ななくていいくらい幸せになって欲しい

私の願いは届かないだろう、救いはそう遠くないうちに死んでしまうのだろう、彼女との日々がやってくる前に様々なことが起こるのだろう、それでも私は祈りを止められない