断片的

こういうことになる

ハイスピードスローモーション

脳が痒い。口からの出まかせが、必然的に二者択一の未来を約束する。何もしないよりかは、何も言わないよりはマシだろうから、とその場を凌ぐようなあんなことを言って、少なからず後悔していた。いや、かなり嫌な気持ちになっている。涙が出そうだ。約束なんてしたくない。人を救うような尊大な約束、果たせなかったら幻滅される。だから口に出さないことの方が多かったんだ。思いつきでいつもと違う行動をするようになってからというものの、大抵ろくなことになっていない。わたしは今までのあらゆる状況において、初手で正解を選んでいたのではないかと錯覚する。嫌だと思っているのは私じゃない。その思考と結びついた感情は私を苦しめる。まず一番の生理的嫌悪、二番は飛ばして三番の発作、四番に衝動。責任から逃れたい。わたしはこんなことをしたいわけじゃない!止まっていた時間が融解する氷のように滲んでいく。上履きを履かずに踏みしめる廊下の感触、夜の校舎、まくしたてられる言葉、高笑い、脳が終わる、脳が終わる、ブツブツとひとりで呟いて笑う。長い時間が経過したような錯覚に陥る。近頃の██はひどく疲弊していて、こちらを安心させるために見せる笑顔はひどく弱々しかった。神経質で気の弱い彼女は、慣れない環境についていくだけで精一杯だ。たとえば咄嗟の会話でいの一番に応答するような責任感の強さなどが裏目に出ている。子供の頃のぼくは大人しく、大声で泣いてただをこねることなんてなかったそうだ。諦めていたのか?子供ってすごいな、全く別の生き物みたいだ。お前がすぐ変な話を始めるから全然話しが進まないんじゃないか?きみはきょうも漫画を描くのだろう、はやくここから抜け出して、電子レンジで昼飯を温めた方がいいよ。明日からまた██が暗い顔をし始める。誰が悪いかなんて考える間もいらない、確実におれたちが悪い。明日も頑張ろうって思えてしまうくらい、と答えた。きっとそんなことはないのだろうなと後ろを振り返りながら笑う。気休めの言葉もぜんぶ、専心あっての偽りだって、聴いてる?血を分けたからにはなかったことにならないその逞しさ、嫌いじゃない。退廃していくきみは美しい。███だなんて嘯いたあの男は正直殺してやりたいけど、きみの一心不乱さに救われているから許しているんだよ。名前を息で呟く。ほんとうにきみが神さまになってしまったのだとしたら僕はいったい何をしていればいいんだ?