断片的

こういうことになる

20191107夢

何か知らんがあと2時間で原爆みたいなやつが投下されて、日本が終わる日らしい。でもなんか一応は避難すれば生き延びれるだけの見込みはあるらしくて、周囲は諦めずに避難する人と避難しない人に分かれている。私は地元から離れた学校にいる。

いつもの不良みたいな人たちとか、今の学校で唯一の友達の幼なじみとか、一部の人は避難するつもりがないらしい。窓を開け放った4階の部屋に集まって好きなように過ごしていた。

ふだん人生を嘆きながらも私よりたくましく生きている幼なじみには「ごめん、死ぬね」と笑いながら告げられる

死ぬか生きるか世界から選ばされる時間なのにいまだに決めかねて宙ぶらりんな私は地元に残された愛する女のことを考えた。嫌な予感がする。あいつは絶対避難しないし、私以外の別の女と終末を過ごすに決まっている。おあつらえ向きの女があそこにはいるのだ。私は死ぬなら一人で死ななきゃならないのに

連絡すると案の定全く避難する気がない。私は彼女との約束のとおり将来同棲したりしてなんやかんや二人揃って無事に生き延びたりしてみたかった。なのに今選ばなきゃならない。この女が生きるなら私も生きることを選ぶ、そうでなければ死ぬしかないただそれだけのことなのに死ぬのが怖くてたまらない

ずっと世界の終わりを望んでいたであろう彼女の気持ちを踏みにじる思いで、頼むから避難してくれと言う。もうなりふり構っていられなかった。彼女には軽い調子で謝りながら断られた。死ぬまでの間に音楽を聴いて過ごしたいから、お前の好きななかで一番イカしてる曲を教えてくれとも言っている。

私のいないところで終わっていく世界の轟音なんかに耳も傾けずにひとりイカした曲をBGMにしながら死んでいこうとする愛する女が憎かった。きっと隣にはあの女もいるだろう、いくら追いつこうともがいても叶わなかったあの女が。私は、愛する女の隣で世界の終末を迎えるには相応しくない人間だったのだ

大切な人たちみんな死を選べてるのに自分は置いていかれてしまう。このまま死んでも生き延びてももうどうもこうもないどうしようもないくらい最悪なんかよこの人生は、もう自暴自棄だ。「そもそもなんで爆弾落ちることなったんだっけ」誰に言うわけでもなく嘆いていたら夢だと気づいた。目が覚める。

自動筆記20191108

居心地が悪い居心地が悪い紅茶を飲むために沸かしてたお湯が冷めた1時間前にボタンを押した電気ケトルが静かにこっちを睨んでいた。心の中で謝ってもう一度居心地が悪いと繰り返す。煙草煙草煙草煙草酒酒酒酒酒助けてくれ助けて助けて助けて助けて助けて喫煙所マップちょっと見ただけであんなに冷たい声出さなくてもいいだろうが浮気すんな浮気!なんで浮気とか思ってるんだバカかなんで浮気ですらない状況を浮気と思ってしまうのか金原ひとみの本の中の最悪の人たちも言ってたぞあの、かわいそうな、あー助けてくれ熱帯魚は揺蕩うだけでやっていけて羨ましい羨ましいというか羨ましくはないきっと熱帯魚にも熱帯魚なりの苦労があるはずだからこれ誰の受け売りですか?倫理、道徳、言いたくもない言葉が俺の表面を塗りつぶしていくどうだっていいわそんなことお湯が湧いた。お湯が湧いたので忘れないように紅茶を入れる。深夜2時、たぶん本当に必要なのは紅茶を入れたり野菜を煮込んだり絵を書いたりすることだけでそれ以外みんな不必要だと思う俺を怖がるな、俺はそういうことをされるのが嫌だから今すぐやめてくれ、あーあーあーあーあーなんなんだ何を言ってるんだ自分が何を言ってるのかさっぱりわからないなんのご飯を食べてるのか眠ってる時何を考えてるのかわからないなんなんだよ本当にもう助けてくれよコップを持ったら熱かったまだ感覚が会って安心するでもなんで暑くて当たり前のコップをなんの躊躇いもなく素手で掴んだのかわからなくて怖い馬鹿やろうばかばか野菜を煮込みたい俺の尊敬するつく瑞先生はいつもポトフを作っているきっと白い部屋でポトフを作っている俺もポトフを作りたいポトフに全部ダメなところとか野菜とか人生が最悪だということ全部いれて形とか食感とかなくなるまで味がコンソメに染まり切るまで染み込むまで全部ぐちゃぐちゃにして換気扇の下でタバコ吸いながらポトフを作りたいポトフを作りたいポトフにならせてくれポトフになりたいんだ俺はエンジニアになんてなりたくないだってたぶん向いてないもんポトフになりたいんだよエンジニアよりもポトフのエンジニアじゃだめだポトフそのものじゃなきゃだめもうほんと助けてくれ先月彼岸花畑見に一人で行ったことないお寺行った帰りに寄った津田沼ベローチェまた行きたい津田沼なんでもあるじゃんすごすぎ津田沼で暮らすのいいな津田沼で暮らせない一生たぶんなんかそんな気がする意味がわからない嫌な夢とか見るし嫌な夢の嫌さは生々しいしいつも自分が抱えてる不安を具体的な事件として体現したような夢でまさか夢の中で殺人をした父親を助けるなんて思わないだろ、夢の中でお父さんは「周りの人にボロクソに言われてた、それ聞いたらスッキリした」と言って笑ってて私は「やっぱり、自分が存在してはいけないことに対する証明が欲しいよね」私もそう思うんだって続けようとしたら目が覚めてほんとなにやってんだよと自分に思った。何を言ってんだよ、なんでそんな本音で親と共鳴しようとするんだでもお父さんは多分笑ってくれると思うんだお父さん死なないでくれ意味がわからない意味がわからないことしかない意味がわからない居心地が悪いみんな普通だから居心地が悪いきっといつまでも苦しいおれがおれである限りいつまでも苦しいそうだよ自分以外のなにかだったらなんでもいいんだお前ふざけるなよ何を言ってんだよいつの話?3年も前の人間と対話をしないでよ何を言ってんだよと何もわからないの繰り返しで本当に参ってしまうそういえば自分は頭がおかしいんだと思ってる時間と自分が頭がおかしいということを忘れてる時間しか存在しないふざけるなよ生きる喜びとかそういうのが全くわからない自分を愛することとかわからない、生きる喜び、自分への愛、そういうのがなくても生きてちゃだめなのか?世界の奴らがいっているそういったこと聞く度にそれが全然わからない自分は生きる資格がないように思えてくる否定される気分になる自分のこと嫌いでも生きてちゃいけないのかよ誰なんだよほんと病んでる風潮はダサいこれからは自分を大事にする時代明るくやっていこうとか言ってたヤツ一生許せないお前お前お前お前お前こっちは本気で自分が嫌いで困ってるのによくもそんなことお前お前お前人生破たん.com俺のすべてがぶっ壊れてる人生更新終了だボケカスクソがおい、大森靖子、TOKYO BLACK HOLE久しぶりに聴いたら半分以上の曲に殺されてすごかったよありがとうあれもう何年前なの?一生あのアルバムで時が止まってらあよ、なんで学生時代がめちゃくちゃ楽しくてそのあとの人生最悪なんだよ普通逆だろ全然人と話しが噛み合わない俺は気さくだぞふざけるなよ

音楽は振り向きざまに信仰の幻覚を見せる

最後の最後に夢を見たかった。ほかのメンバーが選んだこんなクソダサい曲も我慢して完璧に歌って弾いてみせるから、私の本当にやりたいかっこいい曲を1曲だけやらせて欲しい。一曲分の数分間だけでいいから、私の夢を叶えて欲しい。そうしてきっぱり音楽に対するささやかな夢を心の中にしまい込もう。そんな思いでした選曲だった。本気で練習をしなければ言い出しっぺの自分が醜態を晒すことを覚悟しながら、その難しい曲を練習した。最終的に完璧じゃなくても、本気で挑戦できたならそれはそれできっぱり音楽に対するなにか期待のようなものを諦めることができるんじゃないかと思っていたからだ。

けれど夢を見ることすら許されなかった。申し訳ないけど、の言葉と共にやんわり言われた「やっぱり無理そう」の旨の言葉は私と現実の繋ぎ目をほどいて離れ離れにさせる。はっきり見えているのに暗闇で遮断された情報量をしているような視界が、茶色の壁、床、譜面台、青のテレアコ、デジタル時計、ジャズベース。どれも形があって色があるのに触れられるのに私の妄想のように曖昧だった。

私が本気を以て実現しようとしている最中に、よく知らない男が努力もせずそれをいとも容易く投げ出した。私は何のために歌っていたのだろう。あの時聞いた「練習すれば大丈夫そう」という言葉はなんだったのだろう。私は練習しても大丈夫じゃないかもしれなかったから本気で取り組んでいたのに、言葉が崩れる。アイデンティティが崩れる。夢が奪われる。夢が覚めていく。振り向きざまに見えたそれは灰色だった。

泥舟鈍行死体蹴りを読んだ俺はベニヤ板になった

もしかすると自分ってベニヤ板だったのかもしれない。ふと思い、数秒後にそれが確信に変わった。だってどうしても起き上がれない。横たわってじっとして時間が過ぎていく。頭から変な音がするし耳は不規則に痛い。ベニヤ板。今の俺は、不安定な場所に置いて少し重心を変えれば、今にも割れそうに音を立てて軋むただの汚ねえ板だ。ベニヤ板になってしまったので平面と一体化するか何かしらに立てかけられての自立しかできない。
ふと電球が切れて訪れた視界不良のように、何もかもが急にわからなくなった。それだけじゃない、今まで見ていたものに価値なんてない例えあったとしても汚ねえゴミとか埋まってる砂と同程度だと「信じて疑わなく」なった。無理やり思い込もうとしてるわけじゃない。自分の意思と理性とは関係なく、急に目の前のことが砂になったのだから仕方がない。この前までは大丈夫分かってる理解出来てると思ってたことが急に本当に砂になっちゃって、風に乗って、サーッ。どこいったんだよ。なんもなくなっちゃったじゃん。
とりあえず眠って、起きて、まず家族から言われるであろう小言を想像していてもたってもいられなくなった。先週までは自由な1日の代償だと割り切って我慢できていたちょっとした物言いだ。それにさえ全力で怯え切って全力で回避しようと奔走する。小回り効かないバカの自動車。車に乗って3時間フラフラして海まで行った。帰り道にドラッグストアに2件寄って酒とブロンを別々に買った。それは頭の中のシミュレーションどおりの展開を回避するためだけの無駄なプロセスだった(架空のドラッグストア店員が私がレジに置くその組み合わせを見て怪訝な視線を向けるので)。
家に帰って、買ってきたものを吐きそうになりながら食べて飲んでついでに込み上げたゲロも一緒に飲み込んで。そしたらさ、すごく嫌なことがあった。大切な人がまたインターネットから消えようとしてんの。常日頃存在を危ぶまれてる愛する男および愛する女が死のうとしてるのを見た時が、俺はいちばんどうしようもなくなる。限界を誤魔化すためにバグ技使ったのに世界から追い打ちかけられて私の独り言はだんだん絶叫に近い声になっていった。ただまだこの時はまだもう少し大丈夫と思って笑っていた。この時の自信は薬でバグらせた頭の単なる勘違い。オタク2人と通話繋げて3人で笑ってたよ。笑いながら科白を読み上げるように感情だけ抜け落ちた絶望をつらつら話したよ。そうしてすんなり数時間経って楽しい会合は終わる。毎度お馴染み・ODで全く眠れなくなる体を持て余しながらラジオを流して人間の声に脳を浸らせる。ひとりでにバタつく手足、意味もなく痒い全身、息が苦しい。そうして何時間経ったか、コデインとアルコールが抜けて初めて自分に刺さった毒槍たちの存在に気づく。思い出した。さっきまで俺は毒槍を回避していたのではなく、ダメージをすべて受けつつノックバックなしに動き続けていただけだ。麻痺していた不安と恐怖がだくだく流れて周りに血溜まりを作りはじめる。
思い出した思い出した思い出した思い出した俺は元々「こう」だった。俺の人生は元々「こう」だったのだ!辺りを見回すと暗いところにいる。一時的だろうと忘れすぎるのは良くない。こうなるから。脳裏を駆け巡る脅威に震えて右耳と右側の頭痛に集中する。ふと「毒槍」「死推し」「暁美ほむらさんの美しい生」という単語の羅列を思い出す。ナクヤムパンリエッタ先生の泥舟鈍行死体蹴りを買って読もう。その発想は逃避のためか共感を得るためか自分には分からなかったが、とにかく読む他ない、とうとうこの話を読む時がきたのだと思ってすぐにデータ版を買って読んだ。外は明るくなっていた。
そこには世界があって、今まで失くしていた物を見つけ出したような安堵を覚えた。今まで言語化不可能で空欄になってた脳内辞書のページ(小見出し:脅威・人生・祈り)を急激に埋めてくるような語彙が身につく。毒槍。死推し。暁美ほむらさんの美しい生のその先。落ちてないのに落ちてる。折衷案。味のかたちがする。1日、1時間、1分、1秒、その全てに自分が存在しないよう祈りながら過ごす。ひっそりと今日という単位が終わりますように。何度も読み返して何度も感想を探した。そうして自分の言葉にならない恐怖をさっき覚えたばかりの言葉に置き換えてやりすごすことにした。毒槍。毒槍。死推し、世界中のすべてが死の覚悟を決めるよう迫ってくる。違う。こいつらはここにきて急に現れた敵なんかではない。ちょっと前までは、そう、一昨日とかそれくらいまではまだ何らかの形で反抗できていたんだ。無視とか、反論とか、折衷案とか、俺の頭の中の声は俺の頭の中の声だと理解できていたからどうにかなっていた。それがどうにもならなくなるのは、頭の中の声が幻聴だと判断するための何らかを失った時、あるいはそういう器官が狂った時。頭の中の声は世界の声になっていた。頭の中が世界だった。頭の中の架空の住人は目の前にいた。窓の外を見ると頭の中だけにいたはずの死体が地上めがけて飛び降りているのが見えた。目まぐるしく駆けていくそれらの情報量を限りなく圧縮するため同じ言葉を何回も繰り返し呟く。毒槍。毒槍。毒槍。死推し。愛する男と女に顔向けできない。
そうしているとまた新しい朝がやってきて、新しい恐怖に直面した。学校に行かなければならない。無断欠席、体育祭欠席(どうしてこの歳になってまで体育祭なんかするんですか?と本気で思います。陰キャなので笑)、今日も休んでしまうと、嫌いな怖い先生に欠席が増えていることをさすがに感づかれる。専門学校の最悪なところは内定が決まったあとも毎日クソみたいな授業と出席率のためにせっせと通わなければ、内定が取り消しになってしまうという噂があることだった。這うように今までのやり方を思い出しながらシャワーを浴びて頭を洗う。ふと自分の体を見ていると、変な模様が浮かび上がっていたので「ついに幻覚?」と思ったら身体中にいつもの比じゃないくらいの不透明度で血管が透けて見えてただけだった。だけだったとは言ってもスゲェ気持ち悪い。横になっていたから?それともブロンとフォーナインとかいうマジで全国のトリップを愛する者達憎む者達この世のすべてのメンヘラ関係者に伝われみたいな組み合わせをしたから?そういえば昨日は心臓がうるさかったし脈も異常だった。流しっぱなしになっているテレビから流れるZIP!スパイダーマンの新作の話をしている。「主人公はスパイダーマンとしての自信を失いかけてしまい……」わかる。俺もスパイダーマンとしての自信、失いかけてるよ。泣きそう。化粧は女の理不尽さの象徴。眉毛しか書いてやらねえよバカ。欠席、毒槍、欠席、遅刻、内定取り消し、毒槍、グループワーク、毒槍、欠席、内定取り消し、内定取り消し、内定取り消し、内定取り消し、内定取り消し……?思えばあれは脅し的なニュアンスを多く含んでいる警告だったかもしれない。怖い噂なんかと同じくらい理不尽な与太話。けれど元来世界から理不尽に毒槍で刺されている(と思い込んでいる)自分はこれ以上理不尽な出来事が起きようが起きまいがその違いが分からずただただ毒槍の質量の差に怯えるだけだった。手加減なしの言葉の暴力みたいな言葉を喰らったら、貫かれたら、バキバキに割れてしまう。ベニヤ板だから。
ここには世の中の悲惨な事実をしらないままのうのうと生きてる奴が多すぎる。何も知らないまま死ねると思うな、地獄を見せてやる。こうなるとベニヤ板の呪詛は止まらない。バグった判断力が「お前は正しい」の激甘ジャッジを何回も何回も下して俺を死が破滅かあるいはそれに似た最悪な場所へ導こうとしてくる。電車に乗っている自分以外の人間の声が妙に頭に響いて最悪だった。ベニヤ板が軋む。

賞味期限切れ

頭の中を蛆虫に食い荒らされてる感覚がある

鈍い頭痛が立ち枯れた紫陽花の毒に似ている

暗紅色の液体が飛び散ったホウセンカの花だけが傍らの死体をじっと見つめている

感覚の麻痺をさせる薬が役立つのはそれを必要とする致命傷があってこそだろう

行きの電車で祈りじみた手紙を書きなぐっていたら泣きそうになってきた

いつもこうだ 本人に言葉にして届けるつもりのない祈りが結局勝手に言葉になってしまう 心の底から思っていることだから 卑しいからその本心は最後の一文に留める 名前も書かないよ

今となっては鬱陶しくてたまらない

畦道で死ぬ、あの人は死ぬ、もうすぐ死ぬ、あの子も死ぬ、目を離した隙に空を飛ぶ

焼かれもせず腐って無縁仏になっていく死体ですら拝みたい 誰にも言えない

自信喪失と自己嫌悪と発狂が同時に日食のよにぴったり重なって何も見えなくなっている

自分が何よりも嫌いに思える日は超俗した救いが光に見える

吐瀉物みてえな祈り

それは今日紐解いた実験小説の絶望を染み込ませていくことと同じ

見せかけの実態が普遍の空気が本質の無意味が救いだということ

夜があなただけのものになることで安寧が訪れるならそうしてほしい

あまりにも青色の模様が綺麗だからそれが身体にとっての毒であることを忘れて惚けていた

本当は自分が好いと思ってるものが誰にも刺さらないことに腸を煮えくりかえしている

自分の見た幻を遺書代わりにしたためて後の人間に伝えるしかない

俺が見てきたものはなんだったんだ

確かに見たはずなのに

他ならぬ彼ら自身がそれを無かったことにしようとしていく

情報生命体としての命を少しずつ殺している

俺がみた幻を誰にも伝えることができない

だから箱庭でなく遺書を描く

幸せに生きてくれたらそれでいい 生活の中のふとした毒にも薬にもならない事象であればいい

こうして悪循環は繰り返して最後は信仰に殺されそうになって信仰を殺す

神話を 彼らの言葉をなぞっていく その神聖さを噛みしめて この世界を許す糧にする おれは気が狂っている

目を逸らすなよ 意味のない嘘を

生きててくれてありがとうあなたの前では私のどんな苦しみも祈りもすべて無意味だ

あなたに地獄に堕とされたい

状態異常「祈り」「狂信者」「排斥」

自分という個体がどれほど願っているかなんて間違っても知られたくない、そうでなくて、実体のない祈りのような願いだけがただ浮遊しながら相手の方向へ向けられていることを知って欲しい

他人の存否によって生かされているのだと実感する

遍在する倫理と偏在した執着が愛だよ

ひとがやけに美しく見えるから祈らずにいられないってだけの話ですよ 結局

自分がいつもより嫌いに思える時は超俗している人が光に見える

宗教心よりポップで恋より安全

なのに私はそれを汚すことを強いられている

俗世への協調のために信仰を蔑ろにすることは私にとって辛くて

夜眠る前に、百ぺん謝っても足りないでしょう

息災を、信仰を、安寧を、信頼を、心算を、偶像を、無我を、分類を、不可視を、超俗を、霊場

正方形の隙間が愛しい それ以外はすべて憎い

私が遺書に書きたいのは本当はこんなことではなくて

私の祈りを叶える人だ

代わり映えのない毎日を生きててくれて嬉しい

月曜日の早朝5時は彗星が通り過ぎる

祈りが近づく なんだか衛生軌道のようにやけに近くにやってきたので瞬きから瞬きまでの一瞬の隙でその息吹を脳に焼付けた 今はそれを反芻してる

このあとどんどん離れるだろう 軌道上を一周するのにどれほどの年月がかかかるか知らないから次はいつかわからない 生きてるうちにはもうないかもしれない 別にいい

私は意味を求めすぎる だから意味を極限まで殺した君の生きざまが羨ましく愛しい

人の気持ちに興味がなくてよかった

小説を読むことに限っては下手な人でよかった

あなたが遠い人で本当に良かった そうでなければ

正真正銘の祈りに姿を変えたい 体が重い、頭が痛い、具合が悪い、焦点が定まらない

こちらの苦しみとは関係なく貴方の元に平穏が長居すれば できるだけ長く できるだけ多く

祈りたい、あなたに祈りたい、私が無駄なことをしているとはやく教えて欲しい

暗くて静かで寂しい

押し付けがましい祈りを恥ずべきなのに他でもない愛する人がそれを願っているから私も願わずにはいられない

晩年を過ごしているような無機質さが救いなのにね

あなたが惨めに寂しく死んでいくであろうことが私にとってどんなに救いか

どんなに悲しいか

私があなたを慕っていることがどんなに愚かか

生身の人間を心の支えにできていないことが時々恐ろしく感じる 私が見ているものは架空の、普遍の、非実在

擦り寄ってきた猫を見た時に押し殺した嫌悪感に似ている

抱きしめる姿かたちがない 掴もうとしても手応えがなくて抱きしめようとしてもなんの感触もないまま我が手が空を切るのみ

橙色の光が差し込む暗闇に地獄を見た

あなたの前では私の祈りも悪巧みも全て無に帰す

絶対に届かない相手に信仰という名の恋をして、あらゆる成就を最初から諦めることによって、期待したのち傷つくという恋愛の負の側面をことごとく回避することができます

ただ、生きた心地はしません

寂しい 元気な姿が見たい

でもこれはこちらの強欲なので 生きやすい場所で好きなことをやっててくれたらいい

あなたのことを消費してる人間なんて救わなくていい

私は勝手にあなたのことを考えて自分で自分を救わなきゃいけない

あなたは神様でも何でもない

なるべく永く、安寧に包まれて生きて欲しい

尊敬する人から死を遠ざけたい

安寧に包まれて生きて欲しい

心の底から笑えるような楽しみに恵まれてほしい 死ななくていいくらい幸せになって欲しい

私の願いは届かないだろう、救いはそう遠くないうちに死んでしまうのだろう、彼女との日々がやってくる前に様々なことが起こるのだろう、それでも私は祈りを止められない

20190401

四.重ねた祈りが新しい春へ私を連れて行く。波打ち際の泡と同じ色の春、昨年までの私と明日の私の間に境界線はない。いまの私に思い出せることはほとんどない。あらゆる思い出を置き去りにして、飛び降りるようにここまでやってきた。自由落下運動の引力で逃げてきた、進んできた。声と足の震えに体を奪われて成仏できない。ピリオドとカンマで区切られた言葉の配列が今の私だ。窓から差し込む陽が当たる本のページが柔く白く輝いてる。この部屋の出口を知らない。外から子供のはしゃぐ声が聞こえてきて、窓の外を覗いてみるのにきまって子どもたちの姿は見えない。気がつくと一人でこの部屋にいることが増えたが、どうやって来ているのかどうやってみんなのもとに帰っているのかも覚えていない。
二.反吐が出る。自分勝手な一挙手一投足だと疑っているんだろう、お前は。何もおれはただ闇雲に世界を呪っているわけじゃない。何も知らずに笑っている人間が許せないだけだ。必要以上の苦しみを貪って辟易するおれのことを。嘲笑う奴らを殺してやりたくてしょうがない。おれの存在意義で誰かをめちゃくちゃにしたとき、心の底から自分を好きになれる気がする。そんな誰かの欲望に似た真似なんてくだらないことはわかってる。けれどおれは違う。誰かを陥れることができたその時、おれが見つめているのはその誰かではなく、自分自身だろう。よく頑張ったな、ありがとう。おれの夢を叶えてくれて、欲望を認めてくれて。これで、おれ、自分のことも世界のことも心から愛せそうだよ。勿論そういう分岐のルートは存在しない。このおれ自身が許さない。なんてったって今のおれは、自分含めたありとあらゆる人間の夢や幸福の象徴に唾を吐かずにはいられない人間なんだぜ。
三.そこのお兄さん、ぼくにいい考えがあるよ。考えというか、アドバイス。展望?いや、提案。或いは世迷い言、気休め、冗談、哀れな厭世主義に対する慰め。ようなぼくらみたいな厄介者が人生を謳歌するには、諦観という忘憂で酩酊することが大事ってこと。そこに夜話のメルヘンをかき混ぜれば、悪者も一発でノックアウト。ぼくはね、このことに関しては君よりよっぽどうまいつもりでいるんだ。大体わかってきただろう。来世に期待する空想に耽ったことはある?きみの場合はそうでなくてもいいのだろうけど、そんな顔しないでよ。よく知っているはずだよ、ぼくのことを嫌ってもぼくの美学を嫌うことができる人間がここに一人もいないこと。
一.わたしはやっぱり何もかもが現実になればいいと思うんだけど。ねえ、味覚障害の人から美味しい食事の権利そのものを奪うなんていまの世の中じゃ批判ものでしょ。わたしはわたしが持たされた権利でのびのび笑えたとき、最高に生きてるって心地がするよ。恥知らずって言ってすぐ怒るけど、面倒だなあ。正しい生き方がどっちなのか考えなくても分かってるのに…、なんてね。行き過ぎた厭世主義はともかく、半身のことは大事にしたいのはわたしも同じ。前々から言ってるじゃない。わたしのせいで彼女がだめになったって、またそうやって悪いことだけ言う。わたしは思い出をあげた。あんたの言う失敗へ彼女を連れて行ったのはわたしじゃない、そうでしょ?話が逸れちゃった。いや、意外と今ので言いたいことはなんとなく言ったかも?余計に苦しみたいんならそのままそうして行くとこまで行っちゃえばいいし、私たちと██のためになることがしたいんなら、もうちょっと大人しくできる道を考えたほうがいいよ。

唾棄

片道一時間半かけて学校に通うことが苦痛だと、改めて強く思った。そこにはストレス因子になる人間しかいない。イヤホンを貫通して聞こえてくるメンヘラの女の甲高い笑い声、女みたいな話し方の男の笑い声(近頃これがいちばんキツい)、早口のオタクの声、早口のオタクの声、芝居かかったオタクの声、頼む!全員死んでくれ!

先月、面談で就職指導の偉い先生と話をして、褒められると共に頑張ってというようなことを言われた。ありがたいことではあるがどうしても胃が痛くなる。かつての自分は大人しく目標を諦めた、そして日々を舐めプで過ごしても済むような場所にやってきたはずなのに、どうしてまた頑張らなくちゃいけない事態になっているんだ。頑張ると失敗した時に苦しい。あの苦しみを何度も味わうくらいなら努力をしなくても成功することだけをやってぼんやりと生きていたい。それなのに苦手な講師は言う、私がどんどん上に行けるような布石を用意してくれる。「あなたが思ってるより世間のフィルターは甘いよ」「やらないで後悔するよりやって後悔した方がいいよね?あなたも分かってるだろうけど」「あなたならできるでしょ」「大学、行かなくてよかったね」この人は正しいことしか言ってない。怖い。助けてくれ。私は私にできない正しいことを平然とやってのける人間が嫌いだ。怖い。期待ですらない期待に応えなければならないというプレッシャーで眠れない日々が続く。勉強するつもりのなかった上位互換の国家試験の講義に混ぜてもらうといい、と言われてほかの学科に投獄されることになった。二つ返事を繰り返しているうちに決まってしまった。私は精神が終わっているのでアルバイトも勉強もしてない、客観的に見たら完全に暇人な自分に断る理由はない。嘘をつけるほど器用でもない。と言っても結局行きたくもないインターンシップと日程が被ってるせいで1回も行けていない。この前行ったインターンシップの事前連絡メールに書いてある会場や持ち物がおかしかったせいで散々な目に遭った。もう心が折れかけている。お礼メールへの返事も来ていないしあのメールに書かれていることは間違っていた可能性が高い。でもこういう時どうすればいいのかは知らない。散々な目といえば、この前授業のグループディスカッションの発表で仕方なく登壇したら足と手と声がありえないほど震えて恥をかいた。友達がいないので笑ってくれる人が若くて可愛い男の先生しかいない。最近、女らしい女を見ると無性に殺したくなる。男を見てても殺したくなる。人と会話している最中の離人感が消えなくて気が滅入る。適当にやりすごしているせいである程度の会話が出来る人だと思われているが本当は誰とも話したくないし、会話をしている最中いつも叫んで逃げ出したい気持ちでたくさんだ。模擬面接の授業がある日、不安で泣くほど嫌になって怖くて仕方なかったので仕方なく休んでしまった。どんどんできないことが増えていく。2年前はできたことが出来なくなっていく。仲の良い人と好きなことの話をしている最中であろうとも不穏が後ろから肩を揺さぶってくる。いつも心の中で謝っているから会話がままならなくなる時がある。この前通話越しに人と話したとき、その最中に書いていたメモを見返したら殺してくださいと助けてくれみたいなことが何回も書いてあって気味が悪かった。化粧が全く好きになれなくてつらい。女らしい服を着るのに抵抗を覚え始めた。集団の中で自分という存在が突出して目立つことを考えると何者でもない状態になりたいと願ってやまなくなる。身動きが取れなくなっていく。今日も行きたくないインターンシップのために提出書類を書いて先生に提出しなきゃならない。小さな紙に必要事項を書いて先生に手渡しに行く、ただそれだけの事なのにその単純な行為をする自分が多人数から観測されうるということを考えると不安になる。誰か助けてくれ、ここから逃げ出したい、誰もいない場所に行きたい、怖い、不安に押し潰されそうだ